根管治療
- Q. 根の治療にはなぜ何度も通う必要があるのですか?
- A. 根の中は非常に複雑で、一度の洗浄では細菌を完全に取り除くのが難しいためです。細菌をゼロに近づけないまま蓋をすると、数年後に再発してしまいます。「急がば回れ」で、しっかり除菌することが歯を長持ちさせる秘訣です。
- Q. 根の治療中に痛みはありますか?
- A. 治療中はしっかり麻酔を効かせますので、痛みを感じことはほとんどありません。ただし、根の先に強い炎症がある場合は、治療後に数日間鈍痛が出ることがありますが、痛み止めでコントロール可能です。
- Q. 他院で「根が割れているから抜くしかない」と言われました。
- A. 割れ方によりますが、「口腔外接着再植法」などで残せる可能性があります。一度拝見させてください。
- Q. CT撮影が無料なのは本当ですか?
- A. はい。精密な診断は「正しい治療」の前提条件です。当院が必要と判断したCT撮影において、別途追加費用を請求することはありません。
- Q. MTAセメントとは何ですか?
- A. 非常に殺菌力が強く、膨張しながら固まるため密閉性に優れた画期的な薬です。歯の根に穴が開いてしまった場合や、深いむし歯の保護に非常に有効です。
- Q. 治療期間はどのくらいかかりますか?
- A. 症例によりますが、通常は3回〜5回程度の通院が必要です。難症例の場合はもう少しお時間をいただくこともありますが、初診時に目安をお伝えします。
- Q. 以前に根の治療をしたところがまた痛くなりました。
- A. 根の中で細菌が再増殖し、「根尖性歯周炎」を起こしている可能性があります。再根管治療が必要ですが、当院の精密な手法でリカバリーを試みます。
- Q. 銀歯ではなく、土台だけでも白くできますか?
- A. はい、ファイバーコアを使用すれば土台は白くなります。その上に被せる冠も、保険の範囲内で白いもの(CAD/CAM冠など)を選べるケースが増えています。
- Q. 根の治療をした歯は弱くなりますか?
- A. 神経を取った歯は栄養が行き渡らなくなるため、枯れ木のように少しもろくなります。だからこそ、柔軟性のある「ファイバーコア」で補強し、しっかりとした被せ物で保護することが重要です。
保険診療でおこなう、精密・高度な「根管治療(歯の根の治療)」
本所吾妻橋で35年、多くの患者さまのお口を診てきましたが、最も胸が痛む瞬間があります。
それは、他の歯科医院で「根の先が腐っているから抜くしかない」「大きな膿の袋があるからもう無理だ」と言われ、絶望した表情で当院へ来られた時です。
確かに、重度のむし歯でボロボロになった歯を残すのは、非常に手間も時間もかかる作業です。
しかし、私は安易に「抜きましょう」とは言いません。
なぜなら、どんなに優れたインプラントや入れ歯も、ご自身の天然の歯が持つ「噛み応え」や「クッション性」には敵わないからです。
当院では、「保険診療の枠組みの中で、どこまで精密な自費レベルの治療を届けられるか」を追求しています。
CT、拡大鏡、MTAセメント……。
通常なら高額なオプション費用がかかるような高度な機材や材料も、当院では「歯を残すために必要」であれば、追加費用をいただかずに導入しています。
「根管治療」とは、家でいう「基礎工事」です
根管治療(こんかんちりょう)とは、むし歯が神経まで達してしまった際、汚染された神経や細菌をきれいに取り除き、根の管を洗浄・消毒して封鎖する治療です。
もし、この「基礎工事」が不十分なまま、上に高価な被せ物をしたとしても、数年後に根の中で細菌が再増殖して再発してしまいます。
そうなると、せっかくの被せ物を壊してやり直すだけでなく、最悪の場合は本当に抜歯せざるを得なくなります。
だからこそ、私はこの「目に見えない根っこの掃除」に、誰よりもこだわりを持っています。
保険診療内でも、精密に、丁寧に
当院では、再発率を極限まで下げるため、以下のような設備・手法をすべて保険診療内で活用しています。
拡大鏡(ルーペ)
根管治療の失敗の最大の原因は「汚れの取り残し」です。
歯の根の中は非常に暗く、針の穴よりも細い世界。肉眼で見える範囲には限界があります。
拡大鏡を使用することで、肉眼では「黒い点」にしか見えなかった根の入り口が、はっきりとした「空洞」として捉えられます。
汚れを確実に取り除けるのはもちろん、健康な歯質を削りすぎることがありません。
また、肉眼では見逃しがちな「微細なヒビ(破折)」も早期に発見できるため、無駄な治療を避け、正確な診断が可能になります。
歯科用CT:3次元(3D)
従来の2次元レントゲンは、いわば「影絵」です。
前後に重なっている病巣や、根の複雑な枝分かれは影に隠れて見えませんでした。
歯科用CTを用いることで、根の先にある膿の袋(根尖病巣)の正確な大きさや、根の曲がり具合、神経との位置関係を3次元で把握できます。
「どこをどう掃除すべきか」の地図を事前に手に入れることで、治療の成功率は劇的に向上します。
当院では、 精密な診断が必要な場合、追加費用なし(無料)でCT撮影を行います。
ニッケルチタンファイル
根の掃除に使う器具を「ファイル」と呼びますが、従来のスチール製は硬すぎて、曲がった根の中で折れたり、根を突き破ったりするリスクがありました。
ニッケルチタンファイルは、どんなに曲がりくねった根管でも、その形に沿ってしなり、奥の汚れを安全に掻き出すことができます。
これにより、以前は「器具が届かない」と諦めていた症例でも、しっかり除菌できるようになりました。
当院では、この非常にしなやかで「形状記憶」の性質を持つニッケルチタンファイルを、保険診療で標準使用しています。
超音波洗浄
ヤスリ(ファイル)で物理的に汚れを落とした後は、根管内を薬液で洗浄します。
しかし、薬液を流し込むだけでは、複雑な網目状の根管の隅々までは届きません。
超音波振動を加えることで、薬液に微細な気泡を発生させ(キャビテーション効果)、その衝撃波で根の壁にへばりついた細菌の塊(バイオフィルム)を剥がし取ります。
「化学的な殺菌」と「物理的な振動」を組み合わせることで、再発率を極限まで下げることが可能になります。
MTAセメント
通常、根の掃除が終わった後はゴムのような材料で蓋をしますが、歯の根に穴が開いていたり、病巣が大きかったりする場合は、従来の材料では密閉しきれません。
MTAセメントは、強力な殺菌作用があるだけでなく、固まる際に膨張するため、隙間なく根を封鎖できます。
また、人体との親和性が非常に高く、失われた骨の再生を促す効果も期待できます。
自費診療なら数万円のオプションになることも多い材料ですが、私は「残せる可能性を1%でも上げるため」に、医療用セメントであるMTAセメントを、必要に応じて追加費用なしで使用します。
ファイバーコア
根管治療を終えた後の歯は、神経を失い枯れ木のように脆くなっています。
そこに金属の硬い土台(メタルコア)を入れると、強い力がかかった際に楔(くさび)のように働き、歯の根が真っ二つに割れてしまう「歯根破折」のリスクがありました。
当院では、このリスクを軽減するため、グラスファイバーを用いたファイバーコアを推奨しています。
最大の特徴は、歯に近い「しなやかさ」です。噛む時の衝撃を適度にいなし、歯への負担を最小限に抑えます。
また、光を透過するため、上に被せるセラミックの美しさを最大限に引き出せるメリットもあります。
「抜歯」を回避する、最後の砦:高度な外科的アプローチ
通常の根管治療(上からお掃除する治療)だけでは治らない難症例に対しても、当院には多くの「残すための手段」があります。
歯根端切除術(外科的根管治療)
根の先に膿が溜まり、上からの掃除で治らない場合、歯ぐき側から直接アプローチして膿の袋と汚染された根の先だけを切り取る手術です。
ヘミセクション/トライセクション(分割抜歯)
根が複数ある奥歯で、一つの根だけがダメになった場合、その悪い根だけを分割して抜去し、残った健康な根を土台として活用します。
意図的再植法
どうしてもお口の中での処置が難しい場合、一度丁寧に歯を「抜き」、お口の外で完璧に治療と消毒を行ってから、再び元の場所へ「戻す(再植)」方法です。
自家歯牙移植
どうしても残せない歯がある場所に、噛み合わせに関与していない「親知らず」などを植え替える治療です。
口腔外接着法(再植法)
歯の根が割れてしまった「歯根破折」の場合、一度抜いてから外で強力な接着剤で補修し、再び戻すことで歯を救えるケースがあります。

